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Visiting Production 会社訪問
2021年12月、株式会社Synamonのビジネス向けVRサービス「NEUTRANS」を利用してインタビューを行った。それぞれ別々の場所からVR空間に入ってもらい取締役の西口雅幸さんへのインタビューをスタートした。
「NEUTRANS」の開発について
ビジネス向けVRサービス「NEUTRANS」(図の解説)
西口雅幸(以降西口):今日はよろしくお願いします。
富田しおり(以降富田):VR初めてですがよろしくお願いします。
近藤節乃(以下近藤):私も初めてですがよろしくお願いします。ちょっとびっくりしています、、
岡村美里(以降岡村):このVR、すごく楽しいですね。今ここにいるという臨場感がいいですね。
西口:ありがとうございます。
小池万瑠美(以降小池):周りをキョロキョロ見ちゃいますね。で、さっそくインタビューを始めたいと思います。まずはVR関係のお仕事をされている…つまりこれなのですが、どのような事業内容か教えてください。
西口:会社の仕事としてはビジネス領域でのVRを活用したソリューション開発やメタバース構築支援を行っています。VRというとエンターテインメントのゲームとかをイメージすると思うのですが、エンタープライズ向けの事業をしているのが特徴です。
小池:このコロナ禍だからこそニーズがあるのではないでしょうか?
西口:そうですね。VR会議とかバーチャルオフィス、研修・トレーニング、ブランディングを目的としたご相談など、問い合わせは増えています。VRを使うと何ができるのか?どんなシーンで活用するのがよいのか?など、わからないことが多いんです。まずはお話を聞かせていただき、今日のようにVR体験もしていただきながら、お客様にとって本当に必要なものを一緒に創りあげていくイメージです。
小池:ここに車の模型とかありますが、これをみんなで一緒に見ながら会議をするようなこともできますね。
西口:実際に利用した事例として、車の保険の査定があります。事故車の査定のトレーニングにVRを使って研修をしています。あと、地震で倒壊した家屋をどう査定するかも研修しています。
Synamon、三井住友海上と「VR事故車損害調査研修」を共同開発
Synamon、三井住友海上と「VR自然災害損害調査研修」を共同開発
岡村:事故車両を調べるには、正常な状態と事故車両の両方のCGモデリングをして検証するのでしょうか?
西口:まずは事故車両がどう壊れているか調べるため、事故車両だけモデリングします。そしてCG上で壊れた車をリフトアップして車両の下から見ることなどにより査定をします。またトレーニングの内容に合わせてCGモデルを作り替えることもあります。
小池:VRはエンターテインメントでの利用というイメージだけだったのですが、ビジネスの中でも研修とか学習とかシミュレーションとかにも利用が広がっているのですね。
岡村:コロナ禍だと、リアルに研修をすることがなかなか難しく、しかもオンライン会議では実際の研修のようにはいかなかった状況だったと思います。この「NEUTRANS」はその点いいですね。
西口:そうですね。空間が伴うものなので、VR利用は効率的だと考えています。
岡村:付箋を空間に貼って共有できるのもいいですね。
西口:ありがとうござます!
岡村:すごい技術ですね。「NEUTRANS」は、どのくらいの人数でどのくらい開発期間かかったものなのでしょうか?
西口:開発は2016年の9月にスタートしました。そこから正式にローンチしたのが2017年4月です。ただ、そこからもずっと開発は継続的に行っています。最初の開発は自分1人でした。そこから徐々にエンジニアが増えていき、一番多い時で15名ほどいました。
岡村:どのようにして「NEUTRANS」は作っていったのでしょうか?全く想像できないのですが、、
西口:最初にCGのモデルとしてこのような空間、部屋をモデリングします。それをUnity上に置いて、カメラを配置します。それから、ものを持ったらどうなるかとか設定していきます。1つ1つの動作は全部プログラミングによるものです。ボタンを押したらどうなるか、両手で持ったらどうなるかを設定していきます。そしてこのシステムは複数人で空間に入れるので、自分がものを持ったよと、いう情報をネットワーク上で共有させ、他の人から見ても自分が持っているという描画ができるようにしています。なので、ネットワークのプログラミングも必要となっています。
岡村:単純な質問ですが、Unityで開発するとなると「ゲームを作ろう」となるような気がするのですが、そうでないものも作れるのですね。
西口:そうですね。今回のこのような産業利用も可能です。ただ、「NEUTRANS」はゲーム作りと似ていて、ゲームプログラミングをゲームじゃないものに使っているという感じです。必要となる技術はゲーム技術と似ています。
岡村:なぜゲーム開発とはならなかったのですか?
西口:最初は対戦型のシューティングゲームを作りました。当時の2015,6年頃はまだデバイスが出回ってない状況の中、コントローラーで遊ぶものを作ったのですが…。ただでさえデバイスを持っている人が少なく、コントローラーを持っている人も少ない状況で、買う人も限られ、さらに対戦ゲームなので相手もいないという状態でした(笑)。
近藤:人口が少ないから遊べないという状況だったのですね。
西口:そうなんです。弊社は「XRが当たり前の世界をつくる」というミッションを掲げているのですが、当時は面白いVRゲームを出したら売れるという状況ではなく、市場から作っていかないといけなかったのです。それで、toCでなく、toBをやっていこうと方針を決め、「NEUTRANS」を開発しはじめました。
岡村:そうだったんですか。
「メタバース構築支援サービス」について
富田:VRは知ってはいるのですが、深く関わることはないので今日は本当に貴重な機会となりました。ただVR、VRと言われていたのに最近はメタバースという言葉も聞くようになりました。御社に「メタバース構築支援サービス」というのがありますがどういったサービスなのでしょうか?
西口:何かメタバースやりたいけど、何をすればいいかわからないという方や、何かしたいという方のお手伝いをしますよというサービスです。既存のXRの技術を使ってメタバースのビジネス活用に繋げます。
富田:使ってみたいけど、どう使うのかなかなか難しいと思うのですが
西口:VRという言葉自体が流行った時もVRをどう使っていいのか難しいというお話はよくいただきました。メタバースでも同じですが、空間性をともなった体験構築に関して企画の初期段階から入り開発、活用方法までを提供したいと考えています。
小池:VRを広げようと考えた時に、私がVRの世界を楽しもうとすると、機材(HMD)を買って、パソコン買ってやっとできるといった印象なのですが、
西口:Quest 2 が出て、数万円で購入できるので手に入りやすくなったと思いますよ。ただ近い将来ほとんどみんながARグラスをかけているという時代になると思いますが。
近藤:ARグラスかけて気軽に世界旅行したいですね。
東映アニメーションに在籍していたという経歴
小池:西口さんは、東映アニメーションに在籍されていたそうですが、どのようなお仕事をしていたのでしょうか?
西口:私は、東映アニメーションのCG部に在籍していまして、部署はアニメ用のCGや撮影などをやっていました。CG部はメインでMayaを使っていたのですが、私はLightWaveをメインで使っていたので、CGモデリングの仕事をよく受け持っていました。
小池:だからVRの空間とか作れるのですね。
富田:仕事が繋がってるんですね。
岡村:アニメ制作からVR制作に変えたのはどのような理由からでしょうか?
西口:新しいものを追うことが好きだったこともあるんですが、3Dプリンターが出はじめて、スマホなどでARができるようになるということは、モデリングしたものが立体視できるということでもあるのでCGモデラーとしてすごく魅力的でした。また、映像の仕事はレンダリングの時間が相当かかるのですが、Unityのようなゲームエンジンを使うとリアルタイムで描画できるので、そういったインタラクティブ性にも興味をもっていったという感じです。そこからVRに出会ったんですが、自分が作ったものが等身大で見えるという魅力は、モデラー冥利につきるというか、これは凄いぞ!と感じて、どんどんVR/XRにはまっていったという感じです。
コロナ禍でのリモート作業について
富田:このコロナ禍で、リモート作業にシフトしたのでしょうか?
西口:一度、フルリモートにしました。その時は、全社員VRで集まっていました。緊急事態宣言もあけてコロナの感染者数も落ち着いてきたあたりから、家が近い人は出勤OKにしていますし、週1回は出社日を決めて集まってコミュニケーションをとるようにしています。
岡村:例えばですが、ZOOMやGoogle Meetのような平面のリモート会議よりは、「NEUTRANS」のようなVRで会ったほうがよいことはなんでしょうか?
西口:やはりVRですとリアクションがとれるのでいいですね。拍手とかエモーション機能があるので「いいね」とか気軽にリアクションとれます。雰囲気が伝わるのでいいですよ。
岡村:確かになかなか、ZOOMとかの会話で「いいね」とか言えないですよね。
近藤:あと、御社は熱海でワーケーションしたそうですがいいですね!どういった取り組みか具体的に教えてください。
西口:採用チームが利用していましたね。
近藤:ワーケーションという言葉から、バケーションしたらワークできないのではないかと感じたりするのですが、どうでしたか?
西口:計画を立てたりディスカッションするには、開放的なところに行くことで、仲も深まるし、話しやすい雰囲気にもなるので、いろいろな意見が出やすくなるように感じます。
富田:普段と違うところだと、何か新しいアイデアとか出そうですね。
小池:チームワークも深まりそうですね。だからSynamonさんのHPみるとみんな仲良さそうなのですね。
近藤:VRの中での世界と、熱海のようなリアル世界と、いろいろなところで働けるのもいいですね。
小池:Synamonさんで働きたいなと思ったら、どのようなスキルの方を望んでいますでしょうか?
西口:採用チームだけではなく、全員で採用をがんばろうといった感じになっています。エンジニアがエンジニアブログを書いたりして発信していますし、また12月にはエンジニアのブログにアドベントカレンダーという毎日記事を出していく機能があるのですが、弊社は全部埋まっている状況です。実際の採用については経験者を募集しているのですが、会社の理念に共感していただけるかどうかを重視しています。弊社のミッションとして「XRが当たり前の世界をつくる」と掲げているので、自分もやりたいという方を求めています。弊社はまだまだ小さいスタートアップ企業なので、やることは多いですし、環境が完全に整っているわけでないのでそこを伸び代と考えていただける方がいいですね。
小池:これからがますます楽しみですね。
岡村:XRがスマホくらいになる時代がはやく来て欲しいですね。本日はありがとうございました!
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株式会社Synamon
〒141-0031
東京都品川区西五反田7-22-17 TOCビル9階1号室
https://synamon.jp
■事業内容- XR(VR/AR/MR)・メタバースのコンサルティング・企画提案・研究開発
- ■設立
- 2016年8月8日
- INTERVIEWEE
- 西口 雅幸(株式会社Synamon 取締役)
- INTERVIEWER
- 岡村 美里
小池 万瑠美
富田 しおり
近藤 節乃
- EDIT&PHOTO
- Enhanced-Endorphin