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Visiting Production 会社訪問

【第28回/2014年3月号】クレッセント

4D View Solutions専用スタジオ、Digi-Castを見せていただこうとクレッセントさんに来ました。案内していただくのはクレッセント代表取締役の小谷創さんです。Digi-Castの他、ソフトウェア・ハードウェアの輸入、販売されている商品や、自社開発の製品のお話も伺いたいと思います。

Enhanced-Endorphin(以降EE):よろしくお願いします。

岡村美里(以降 岡村):先ほど360度グリーンのスタジオを見せていただきましたが、あれは何をするスタジオですか?

小谷創社長(以降小谷):テクノロジー自体は4D Viewsと言うんですけど、あのスタジオの中に入った人間でも猫でもいいのですがスキャンをしてそれをポリゴン化してくれるものです。ビデオのように動きを撮影してそのものをポリゴン化してパラパラ絵のようにそのポリゴンを動画で見せるものです。僕たちはシーケンシャルスキャナーと呼んでいるんですけど、連続スキャンシステムです。

乙藤未来(以降乙藤):3Dはよく聞くんですけど、4Dって何が1個増えたんですか?

小谷:3Dという三次元の空間にプラス時間軸が増えたのです。

岡村:モーションキャプチャーとどう違うのですか?

乙藤:だから関節のところとかに付けてるんですね。

小谷:そうです。それを操り人形の骨みたいなものにデータを変換して、CGモデルにその骨の動きを入れてあげると、CGのキャラクターが動くシステムなんです。4D Viewsは、それと同じようにカメラで囲んでますけど、カメラはテクスチャーとかシルエットとか全部撮ってくれて、自分の動き自体を抽出してくれるものです。ですから骨だけの情報を得るのか、自分自身の形状そのものを得るのかの違いがあります。

岡村:使い分けとかどう決めているんですか?

小谷:4D Viewsは映像から作るので見た目がフォトリアルですよね。モーションキャプチャーはCGモデルなので、CGキャラというかゲームのキャラクターとか、クリーチャーとかに向いていると思います。

乙藤:リアルなのが4D Viewsで、創られた空想のキャラクターはモーションキャプチャーですか?

小谷:4D Viewsはフォトリアルなものを早く制作できる利点があります。最近では『魔女の宅急便』(清水崇監督)に使用されています。4D Viewsは、そもそもCGデータなので後から更にライティングすることも可能になっています。逆にモーションキャプチャーは後から動きを変えることができるという利点があるので、利用用途によってどちらがいいか決まってきます。

岡村:4D Viewsのスタジオは世界にここだけにしかないと聞きましたが?

小谷:4D Viewsはフランスのテクノロジーなのですが、一緒に開発しているんです。なのでこのスタジオは世界でここだけにしかありません。

乙藤:スタジオはグリーンでないといけないのは何故ですか?

小谷:まずあの色着てる人いないですよね(笑)

乙藤:人間の体にない色とか、あまり洋服に使わない色ということですか?

小谷:そうですね、デジタルグリーンという色なんですけどね。

小池万瑠美(以降小池):ブルーバックのブルーでは駄目なんですか?

小谷:詳しいですねぇ。ブルーだとジーパンみたいな色だと駄目なのでグリーンのほうがいいですよね。

小池:あとホームページにいろいろ製品がありますが、MREALって何ですか?

小谷:AR,VRとかあるじゃないですか、MRはMixed Reality と言うんですが、それを見るためのものがヘッドマウントディスプレイとかあります。 (左写真)VRは自分がCGの中に入ってしまうもので、ARはもっと大きな意味で実空間にデータなり情報が乗ったもので、MRは現実空間に整合するCGが置かれたものといった感じです。ヘッドマウントディスプレイはキヤノンさんのテクノロジーなのですが、MRの名称としてMREALとしました。1秒間に120回フラッシュ当ててモーションキャプチャーの技術で自分の位置をコンピュータに伝えリアルタイムに表示しています。うちは、こういうシステムをインテグレートしたりプログラム書いたりして、より使いやすいものを提案しています。

齊藤奈津子(以降齊藤):設立が平成11年(1999年)ですが、15年前スタートした時はどのようなものを輸入販売していたのでしょうか?

小谷:15年前はデジタル前夜(※1)で、これからハイビジョン始まるぜ!みたいな時でした。ただ後にリーマンショックもあり大変な時期でした。そんな時にアナログ系の編集システムや映像用のスイッチャーとかを海外から輸入販売始めたのですが、儲からなかったですねぇ(笑)
(※1 2000年12月1日からBSデジタル放送が開始)

齊藤:それからどうしたんですか?

小谷:その後、ある時本当に偶然なのですが、CGのある製品を取り扱うことになってなんとか軌道に乗った感じです。

齊藤:それはどんなソフトですか?

小谷:boujouという3Dトラッキングをするソフトなんですね。その後モーションキャプチャーを扱うようになり、次にエンターテインメントだけでなくバーチャルリアリティを使って産業をやろうとなって今に至ってます。

岡村:どんな出会いだったんですか?

小谷:その頃、アナログデータをデジタルデータにアップコンバートする製品を海外からデモ機を買って来たんです。相手先も出来立ての小さい会社でお互いがんばってやろうね、と言っていたんだけど、その会社早々に潰れて300万円ぐらいの製品がゴミになっちゃって。

一同:えっー

小谷:それでその社長も「ごめん、潰れた」って言われ終わったんだけど、1年ぐらいしてからその社長から連絡があり、今度は自分の製品でなくイギリスの新しい製品扱うようになったから、俺が日本の代理権をとったからこの製品扱ったらどうだって言われたんですよ。ただCGの製品は当時よくわからなかったから嫌だと言ったんだけど、SIGGRAPHで製品が展示されているから是非着てほしいと言われて、それでもよくわからなかったから嫌って言ったんだけど、その社長が飛行機代出すからとにかく来て欲しいと言われて、じゃ行くわってことで行く事にしたんですね。それでSIGGRAPHの会場に行ったら盛況で取り扱うことに決めたんです。

小池:すごいですねぇ

小谷:それで扱いだしたところ、映画『ピンポン』や『デビルマン』、それと『ゴジラ』でも使っていただくことになり一気に広がったんですね。それでその製品の親会社がVICOMというモーションキャプチャーの会社で、これも扱ったらどう?って言われ扱うようになり、そして今度は群衆のMASSIVEもどうって言う感じに、どんどん繋がっていろいろな製品を扱うようになったんです。出会いってわかんないよねぇ。

小池:飛行機代払ってやるよって言われなかったらどうなったんですかねぇ?

小谷:会社が今ないかもしれないよね(笑)。

乙藤:出会いは大切ですね。

岡村:私たち18歳から20代前半なのですが、ゆとり世代とも言われますが、15年前の新人さんと今とではやはり変わってきていますか?

小谷:僕の新人の時は、新人類と言われた時代なんですよ。

岡村:聞いた事あります。

小谷:結局社会人になると、仲良くしないといけないとか、礼儀正しくするとか、相手のことを考えないといけないとか、受けた恩義を忘れちゃいけないとか、社会人として当たり前のことはいつの時代でも変わらないじゃないですか。だからゆとり世代だろうが新人類だろうが関係ないことで、こういったことがちゃんとできればいいんじゃないかと思うんですよね。

岡村:年代よりもマインドの問題ですかねぇ?

小谷:そうだと思いますよ。人と付き合うってことは。

岡村:勇気が出ました。

乙藤:15年振り返ってどうですか?

小谷:いやぁーよく生きてこれたなぁって(笑)

一同:えっー。

小谷:起業して15年ですが、1つ1つのプロジェクトが本当に心に残っていて、いろいろやらせていただいて良かったと思ってます。

乙藤:クレッセントさんに入りたくなりました!

小谷:是非よろしくお願いします。

小池:あのスタジオDigi-Castもそうですが、ヘッドマウントディスプレイとかSFの世界に来たというか近づいてるように感じるのですが、デジタルワールドで世の中は便利になっていると感じていますか?

小谷:モノ作りってバーチャルと現物が常に鬩ぎあっていて、例えば今流行の3Dプリンターがあるじゃないですか。あれはデータがデジタルだけど出力はアナログ、現物ですよね?だから3Dプリンターはバーチャルと現物を繋ぐためのツールですよね。だからデジタルなのかアナログなのかじゃなくてどんどん融合してきていると思うんですよ。例えば先ほどのMREALはバーチャルの映像を見ているけど、そのベースはリアルなアナログの映像ですよね。だからデジタルとアナログの切り分けじゃなくて本当に融合してきていると思うんですよ。

乙藤:別物というよりも、同じものと考えた方がいいってことですよね。

網倉理奈(以降網倉):海外の製品を扱っていますが、やはり英語がこれからどんどん必要になってきますよねぇ。

小谷:英語は接しているとだんだん喋れるようになると思っているんですよ。僕はアメリカの大学院出てるんですが、その時ブラジル人とアルゼンチン人とイギリス人とアメリカ人と僕とでシェアハウスしてたんですね。週末とかはパーティとかしてそこでスラングも含めていろいろ学んだんだけど、社員にも製品扱うと専門用語は英語だし、プログラムも英語だし、開発者が来日した時に話したりするとだんだん話せるようになっていると思ってます。またメールもしないといけないので、そうやって慣れることが大切だと思います。言葉はコミュニケーションのツールですからね。

網倉:完璧な英語を話さなくてもいいんですよね。がんばらないと。まずはGOOGLE翻訳でがんばります(笑)。

岡村:昔の人が2013年はこうなっているという空想の絵を先日ネットで見たのですが、そこには車が飛んでるし、TVは立体になっているし、街中には立体交差の高速道路だらけになっていたんですが、こういった世界はいつ実現になると思われますか?

小谷:どうだろうねぇ。自分が思ったことって既に開発が始まっているよね。これ欲しいなぁと思っていることは何かしらその片鱗が世の中にあったりするよね。ITってそういうことだと思いますよ。あらゆるものが繋がってくるのがITで、そのうち潜在意識も繋がってくると思うんですよ。だからそのうち、こんなのできないだろうか?と思った時点でそれはどっかで出来てるような世の中になるかもしれないよね。

岡村:ちなみに、小谷さんが今欲しいもの何ですか?私はバーチャルTVが欲しいんですけど、、

小谷:そうだなぁ、30分寝たら5時間ぐらい寝たようになるウルトラ眠り枕みたいなのあるといいですね(笑)。

一同:欲しいー

岡村:ノンレムとレムで起こす目覚ましありますから、出来るかもしれませんね。

乙藤:小谷さんが影響受けた映画は何ですか?

小谷:『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』(1983年)ですかね。イギリスの小さな町に石油が出て、石油を掘る話なんだけど、不思議な映画ですよ。その町の女性と恋に落ちるんだけど、その女性は実は人魚だったりするんですよ。

網倉:是非帰りにツタヤに行って観ます!

小池:漫画やアニメなど、人類が夢みてきた近未来の空想がどんどん実現されていることをひたすら感じました。SF映画を見終わったような高揚感でいっぱいになりました!

乙藤:今日見せていただいて、『ドラえもん』とか『鉄腕アトム』の世界が近いような気がしました!

一同:小谷さん、今日は本当にありがとうございました。

INTERVIEWER:
岡村美里(ワオ・コーポレーション)/ 乙藤未来(声優)/ 小池万瑠美 (声優)/ 網倉理奈(東京フィルムセンター映画・俳優専門学校1年生)/ 齊藤奈津子(東京フィルムセンター映画・俳優専門学校1年生)

EDIT&PHOTO:Enhanced-Endorphin

クレッセント
株式会社クレッセント
東京都墨田区緑3-2-12
tel : 03-5638-1818
tel: 03-5638-1800 (Digi-cast 直通)
fax: 03-5638-1819
http://www.crescentinc.co.jp/
http://www.youtube.com/user/crescentinc
業務内容
画像処理ソフトウェア・ハードウェアの輸入、販売、サポート、画像処理プログラムの開発販売、サポート、画像機器の開発、販売、サポート、画像コンテンツの開発・制作援助
主な取扱製品
Vicon Motion Systems(光学反射式モーションキャプチャシステム)
boujou(マッチムーブソフトウェア)
3Delight(RenderMan レンダラー)
Massive Prime , Massive Jet(自律型群衆シミュレーションソフトウェア)
CityEngine(プロシージャル都市景観モデリングソフトウェア)  など
スタジオDigi-Cast
4D View Solutions専用スタジオ
世界初のイメージベース・シーケンシャルスキャナシステム
4D View Solutions (以下”4D Views”) 専用スタジオ
“Digi-Cast”が東京の両国にオープン!フランスの国営トップクオリティのリサーチセンター INRIA から生まれた 4D Views 社と共同開発を行っている画像解析技術のスタジオです。
コラム
VSクレッセント インタビュー集
http://www.videojournal.co.jp/ja/node/37

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