●”伝えること”が何より大事――(全文表示はクリック)
村田:今回、アニメーターとして参加させていただいたんですが、その中で何より大切だと感じたのは、自分の「意思」を次のセクションの方にしっかりに伝えることです。漫画の場合、スタッフさんと直接コンタクトを取りながら指示できるのですが、アニメの場合は、お互いの作業時間が食い違いますからね。「あとはお任せしてチェックお願いします」…という形になるので、絵を描くだけではなくって、自分がどういうつもりで描いたのかを伝えておくことが大事なのだな、と。…勉強させていもらいました。

宇田:原画の次のセクションは動画になるのですが、「中割り」(※注:動きの途中をつなぐ作画工程の1つ)を作るにしても、色を塗るにしても、事細かく指示しなきゃいけない。…さらに作業工程でいうと、撮影さんに絵の動きのタイミングも伝えなきゃいけないし、演出効果として、カメラワークやフィルターワークを「こういう風にしたい」と指示する必要があります。なので…自分のイメージを文章や記号を使いながら正確に伝えるのが、非常に重要なのです。



村田:確かにそこには苦労しましたね。

宇田:ちなみに、アニメの制作中って、他のセクションの人と顔を合わせることって、ほとんど無いんですよ。だからこそ、自分の顔を知らない人達に、「自分のやりたいこと」をどうやって伝えればいいか、というのは、アニメーション制作の上で一番大変な部分でもあるわけです。

●自分の中のストライクゾーンを設定する(全文表示はクリック)
村田:…以前、ある作品の絵コンテを見させていただいたことがありまして。…完成品と見比べると、監督が意図した表情とか仕草が、作画の段階で取りこぼされている事もあるんだな、と思ったことがあって。…そういうことが起きないように、絵コンテも読み込まなきゃいけないなぁと。



宇田:そうですね。『ONE PIECE』でキャラクターデザイン・総作画監督として一緒に仕事してくれた小泉さんは、よく「僕は監督の絵コンテを忠実に再現するのが仕事」と言ってました。それは、”指示された通り”じゃなくて、”監督が何をやりたかったかを理解したうえで描くのが僕の仕事”という意味ですが。…こういう考え方は、すごく有り難いんですよ。正直なことを言うと、演出家が1枚の絵コンテに込めた「自分の頭の中にイメージもの」がそのまま画面になるということは、あんまり無いので。

村田:自分で描いた方が早い。……という監督さんもいるらしいですしね。

宇田:確かにそういう方もいますね(笑) でも、監督としては、ある程度のベクトルとストライクゾーンを設定してはいるものの、仮に外角ギリギリいっぱいにボール半分が外れていようが、自分の中で「OK」と思ったら、GOサインを出して渡してしまうわけです。



村田:ここに関してはストライクゾーン狭めで、ここは広めに取っておこう、みたいな感じですか?

宇田:そうですね。…もちろん、カットによってはストライクゾーンをかなり狭めなきゃいけないんですが、普段はストライクゾーンを広めにとっておくと、いい方向で自分が予想もしなかったものが投げ込まれてきたり、「僕1人だったらこういう絵にはならないなぁ」というのがあがって来て、面白みが出たりします。…これがアニメーションを集団作業の中で作りあげていく、一番の魅力だと思います。ただ、それぞれが勝手にやってしまうと、あまりにバラバラになってしまうので、僕たち監督が調整していくイメージでしょうか。

村田:なるほど、勉強になります。

宇田:ストライクゾーンが非常に狭い方もいらっしゃいますけど。それこそど真ん中のストレート以外はダメだったり(笑)

村田:その間合いを測るのも、作画スタッフが勘を働かせる大事なところです(笑)
漫画でも、イラスト発注で「好きにやってください」といわれることがあって、そうやって好きに描いたときに限って、ボツが出るんですよ(笑) 「好きに描いていい」言ってたじゃないかって(笑)

宇田:ストライクゾーンがあるなら最初から指示入れてくれよ! みたいな(笑)

村田:やっぱり、多少はそういう枠が欲しいな、とは思いますよね。

宇田:演出も、打ち合わせのときにうまく言葉を選んで伝えているんです。絵コンテの通りに描いてほしいときは「こうです」と断定した口調にします。その代わり、自由にやって欲しいときは、「このキャラクターはこんな風に考えてると思うんですよね~」みたいな、軽―い感じに伝えています。そうするとアニメーターさんも「このキャラクターはこういう風に考えていたなら、きっとこんな動きをするだろう」…と、自分の色を出してくれるんですよね。

村田:そういうのを伝えてもらえると、こちら側としてはすごくありがたいです。

宇田:ですよね。それは村田さんも自由にやるタイプだからだと思いますよ。僕も先輩から「あんまり丁寧に絵コンテを描くな! ガチガチに描くと、こうじゃなきゃいけないのかな、と思われる」って怒られたりもしました。「それじゃアニメーターさんはそれ以上のものを描いてはくれないよ」って。でも逆に、詳しく指示されたほうが楽っていう人もいるので、難しいところですよね。

●村田先生、怒涛の1ヶ月間!(全文表示はクリック)
村田:僕が東映アニメーションさんで作業させてもらったのは約1ヶ月の間だったんですが、実は最初の2日、入るのが遅れちゃいまして……。もちろん、連載中の漫画は書き溜めてという話で、担当さんとも進めていたんですが、結局それが間に合わなくて(笑) 最初の1週間半くらい、大泉で漫画の作業をしているという事態になっていました。製作担当の大町さんが来るたび、「なんで漫画を描いているんだろう?」という不思議な顔をされてしまいました(笑)



宇田:それは確かにびっくりしそう(笑)

村田:かなり申し訳なかったです(笑)アニメを作る過程に興味があったんですが、人間が一つの作業に特化するために必要な時間は1万時間って言われているじゃないですか。たとえ僕が一睡もしないで32時間詰めたとしても、744時間くらいしかやらせて頂いて無いので、これからも継続的にこういう修行をして、教わったことを糧に続けていくことが大事なのかなって思います。

宇田:僕らとしても、連載漫画家の村田先生からあっさりOKが出たので、かなり面食らいましたよ(笑)

村田:いやもう、こっちが飛びついたくらいですよ(笑)

●『マジンボーン』の今後の展開から目が離せない!!(全文表示はクリック)
宇田:今後の『マジンボーン』ですが、一言でいうと、今は地球側というか『翔悟』側からの視点ばかり描いています。でも今後はダークボーン側にも色々出てきて……。彼らの内情とかが、ストーリーに大きく影響を及ぼしてきます。新しく中枢となる敵が出現したり、タイガーとウルフの登場で、地球側もみんながみんな一枚岩ではないんだ、ということにもなってきます。その中で、翔悟はいろんなことを考えて「そもそもこの戦いは何なんだ!」という本質的なテーマになっていきます。そこはお楽しみにという感じですね……って、一言じゃないじゃん!(笑)

村田:僕が原画を描かせてもらったのは、12話のHUMMERが爆走して、自動車道に突っ込んでいくシーンです。ガードレールをぶち破って、橋から思いっきり飛び降りるんですよ。なんでそこらへんのシーンをぜひ……、ってシーンだけ見てっていうのもおかしな話ですよね(笑) 全体を通しての作品ですし、他のスタッフさんの仕事もぜひ見てください



宇田:ファンのみんなはやっぱり興味ありますからね(笑)

村田:とにかく、6月17日(火)放送の12話「ドラゴンの暴走」を楽しみにしていてください!

宇田監督、村田先生、本当にありがとうございました!



~profile~
 
宇田鋼之介
『マジンボーン』シリーズディレクター。静岡県出身。1966年生まれ。
【代表作】
『ONE PIECE』、『ラブ★コン』、『銀河へキックオフ!!』、映画『虹色ほたる』
東映作品を始め多数の作品を手がける、日本が誇るアニメ監督!
村田雄介
漫画家。宮城県出身。1978年7月4日生まれ。
【代表作】
現在「となりのヤングジャンプ」で『ワンパンマン』を大好評連載中!
『アイシールド21』、『ヘタッピマンガ研究所R』、『曇天・プリズム・ソーラーカー』の作画を担当する。



●はじまりはダメ元から!? (全文表示はクリック)


宇田:村田先生にキャラクター原案をお願いすることになったのは、プロデューサーの鷲尾さんが、非常に村田先生の絵を気に入っていて…ほんとダメ元だったんですよ。冗談抜きで。連載している方は非常に多忙だし、なかなかOKがもらえないんじゃないっていう話をしていたら、結構あっさりOKがでて(笑) 

村田:こっちが飛びついたくらい(笑) アニメを作る過程・工程に興味があったんです。どういうプロセスを踏んで出来上がっていくのかとか、単純に「気持ちいい動き」って、アニメ観てるとあるじゃないですか! …ああいうのは、どういう風に作られるものなのかというのも知りたかったんです。僕自身、WEBで漫画を発表するようになって、演出としてアニメを挟み込んでみたいなという野心もあったので。…それにはまだ全然下地がない、動きを作る基礎がなかったので、プロの方のお仕事をそばで見させていただいて、あわよくば教えていただいてみたいな(笑)  そこで、図々しく、直接直談判させていただいて、お邪魔する運びになりました。

――キャラクター原案は、どんな形で作業が進んでいたのでしょう?

村田:この頃はまだ自宅で作業をさせて頂いていて…各キャラごとの大体のイメージを伺って…確か、去年の10月頃に、最初の翔梧のラフをお渡ししました。その時、翔悟は「髪型がアグレッシブ過ぎるので、もう少し普通っぽい感じがいいな」という指摘を頂きまして(笑)

───アグレッシブだったんですか? (笑)

村田:ちょっとセナっぽい感じというか。空手をやっているキャラだったので、めちゃめちゃ熱血キャラなのかな~?と勘違いしまして。…そこまでじゃない、と(笑) でも、僕の手が遅くて、1月、2月になってもなかなかお返事できなくて…。

宇田:いやいやいや(笑)

村田:ハハハハ…それで、最初のラフをそのままもう通して頂いた形ですよね。



宇田:頂いたラフを元に、キャラクターデザインの大西亮君が、アニメ作画的な補足しながらキャラクター表を完成させていった、という感じですね。今、公式サイトのキャラクター紹介で使われているイラストが、それにあたるものです。

村田:大事にしたのは、キャラクターが並んだ時、シルエット差が出るようにという部分。
細かいところに、キャラクターが際立つ部分が入れられるとよいな、と思ったんですよね。ルークをデザインしたときは、水のボーンファイターなので、衣装の襟の部分をサメのヒレのイメージにしてみたり。ギルバートは、衣装は最初から決まっていたお坊ちゃんっぽいデザインをそのまま使用させていただきました。イメージ的にはストリートダンサー系のアントニオと対になっているというか……。

宇田:アントニオは、スラム街で育ったガテン系という設定でしたからね。

村田:タイロンは、最初はもっと屈強なアフリカンが派手な衣装や装飾品を身に付けているイメージだったんですけれど、アニメーションで動かすのがかなり大変、というのもあり…相談していくうちにモヒカンとマントに落ち着きました。

宇田:そうですね、タイロンは手直ししていくうちに少しずつ方向性が変わっていったキャラクターでした。確かカラフルなバージョンもあったんですが、他のキャラクターとのバランスが悪くなってしまって、結局今の色に落ち着いたんです。…彼にはチームの精神的な重石っていう役割を持たせたかったので、派手だと扱いに困ってしまうんですよ。声を安元洋貴さんにお願いしたのも、落ち着いた声質が良いなあ…という狙いで。

村田:髪型がモヒカンでかなりアグレッシブな感じなのに、性格はすごく真面目な青年っていうギャップがいいんですよね。こんな見た目の人なのに、縁側で将棋を指していても、なんかしっくりくるって、すごいですよね(笑)

宇田:確かにあれは衝撃でした。竹ぼうきで庭を掃除していても、何の違和感もない(笑)

村田:ギルバートが登場したことで、物語が俄然おもしろくなりましたよね。


宇田:ギルバートは、「自分のポリシーがはっきりしている」キャラクターにしたかったので…とにかく生意気に。…でも、翔悟と同い歳にすると、すぐケンカになってしまうかなと思いまして……翔悟より少し幼い「13歳」という年齢にしました。

村田:なるほど。なんか子供が生意気なこと言ってるぞ…みたいな(笑)

宇田:そうそう。相手が13歳なら、多少ナマイキでも「何だコイツ!」と思いながら流せるだろうなって(笑)

村田:人間関係を混ぜ返すキャラが出てきてチームが活性化してくると、ルークは上と下との板ばさみにあって……まさに「中間管理職」の様相ですね(笑)

宇田:年齢的にも22歳。一人だけ成人だからねぇ…(笑) 

●重要な部分はチラ見せ!(全文表示はクリック)


宇田:それぞれキャラクターのバックボーンは、結構細かく決めてあるんです。今後、キャラクターが過去を回想する話や、早穂の「夢」の話などで、そのあたりのエピソードが登場する予定です。こうしたエピソードの積み重ねで、キャラクターの骨格を太くしていければよいな、と思っています。

村田:ダークボーン側のエピソードもどんどんやっていくんですよね。もう一段階強い敵が出てきたり。

宇田:そうです。それと同時に、謎めいた存在として出ていた「始まりの魔神」がチラリとだけ姿を現します。ほんの指先くらいなんですが…。

村田:指先だけしか見せないのですか!? …ほんとに「チラ見せ」ですね(笑)


宇田:チラ見せだよ~。もうちょっと見せてよ! みたいな方がいいんです。 登場するのは指先だけですが、かなりインパクトのある出方をする予定ですから。

村田:それは楽しみですね!

●ルークは「タキシード仮面」だった!?(全文表示はクリック)
村田:ルークはどうもネタにされやすい子みたいですね。見た目と違って、ちょっとかわいいからですかね? 甘党だったり(笑)

宇田:……当初はこういうキャラじゃなかったんだけど(笑)

村田:板挟みで頭を使ってるから、甘いものが食べたいんでしょうね(笑) 僕は2話で満月をバックに登場し、アントニオとタイロンに突っ込まれているところを見て、「あぁ、コイツはいじってもいいキャラなんだ!」みたいな感覚になりました(笑)

宇田:そうそう(笑) あの時も勝手にキャラが動いちゃったんですよ。「竜神翔悟――!!!」って叫んでビルの上に立ってたたら、翔悟が「変なのキター!!」って(笑)

村田:ものすごく謎めいたキャラですよね。

宇田:僕の中でルークは「タキシード仮面」なんですよね、きっと。

村田:あぁー! 『セーラームーン』の!

宇田:…『セーラームーン』も僕、演出で関わらせてもらってましたからね。あの時も「…コイツどこから登場させる? どこに立たせる!?」みたいな感じでしたし。…今回は、スタッフも笑ってましたよ(笑)

村田:………だから月をバックにしたんですか! なるほどなぁ(笑)

宇田:そんな経緯もあったので、つながりを考えてわざわざ1話の背景の月を満月に修正したりとか(笑) …ギリギリのとことで、変なことをやってます。


●作り手とキャラクターがシンクロする!!(全文表示はクリック)
村田:回を重ねるごとに、キャラがだんだん濃くなっていく感じって、すごくいいですよね。

宇田:漫画もそうじゃないですか(笑)



村田:…確かにそうです(笑) でも、二人のキャラが一緒にいたら、きっとこういうことをするよな…とすぐ想像できる状態って、よく言う「キャラが立っている」ということだと思うんです。それでいうと、マジンボーンのキャラは本当に描きやすいんですよ(笑) すごくキャラが立っていて、いい作品だなって思います。

宇田:村田先生の中でもキャラが生きていて、シンクロしているんだなって思いますよ。

村田:…こんな風に作品を通じて、監督さんと以心伝心できるのが、原作付きの作品に関わる醍醐味です。…それぞれの頭の中のことなので、しっかり意見のすり合わせをしないと、キャラクターのイメージがズレてしまうことはよくあって。…そのせいで、後々の展開でつじつまが合わなくなることもありますもんね。……実は「村田くんがこう描いたから、こう変えざるを得なかった」ということが以前あったりして、かなり反省したんですが……。



宇田:でも、相手の投げてくれたイメージから発展することもあるし、少しくらい整合性が取れていなくてもいいんじゃないかな。…というか、作り手がノッている時って、少々破綻していても「面白い」んですよね。自分のアニメ人生の中でも、ノッている時のものは、少しくらい絵や背景が荒れていようと、そこには目をつぶれるくらい面白かったんですよ。

村田:ありがとうございます! そう言っていただけると……結構危ういものを描いているので(笑) やっぱり作品への愛情があるか無いかは、出ますよね。

宇田:そうなんですよ! 出ますよねー。どんな綺麗な画面でも、なんか流し仕事になってると感じた仕事は、「一回観たら、もういいか!」ってなっちゃうんですよね。その点『マジンボーン』は絶対に大丈夫ですよ! ファンイラストを村田さん自身がツイッターで描いてくれると、「あっ、先生もノッてるんだ!」とファンも思うわけです。それがアニメとしての勢いにもつながり、ちょっとずつ面白くなっていくんですよ。

村田:そうだとうれしいですね。実際に本当に楽しいです(笑)

―――前編はここまで!
対談の後編では、アニメ制作の裏側や村田先生の原画参加体験について語ってもらったぞ!
6月17日(火)更新予定なので、絶対に見逃すな!



~profile~
 
宇田鋼之介
『マジンボーン』シリーズディレクター。静岡県出身。1966年生まれ。
【代表作】
『ONE PIECE』、『ラブ★コン』、『銀河へキックオフ!!』、映画『虹色ほたる』
東映作品を始め多数の作品を手がける、日本が誇るアニメ監督!
村田雄介
漫画家。宮城県出身。1978年7月4日生まれ。
【代表作】
現在「となりのヤングジャンプ」で『ワンパンマン』を大好評連載中!
『アイシールド21』、『ヘタッピマンガ研究所R』、『曇天・プリズム・ソーラーカー』の作画を担当する。



●アフレコ中は笑いが絶えません(全文表示はクリック)
KENN:僕たちキャスト陣の雰囲気はすごくいいですね! みなさんゲーム好きな方ばっかりですし。データカードダスの実機が稼働する直前はかなり盛りあがりました。この作品は、リアルな日常会話の部分と、ファンタジックなバトルのシーンという振り幅のある作品なんですけど、みなさん演技をするときの距離感をすごく大事にしてくださっていますね。僕もそんなみなさんに、少しでも追いついていけたらなぁと思っています。

鷲尾:ほんっとKENNさんは真面目なんですよ~(笑)

KENN:いやいやいや(笑) 不真面目ですよ!

鷲尾:ダウト!(笑)

KENN:ふんぞり返ってますって!(笑)

鷲尾:(笑) まぁよく笑いますよね、みなさん。

KENN:え、笑う!?

鷲尾:笑ってますよね? テストとかリハーサルをしている時に、みんなよく突っ込んでますよね、映像に(笑) 「この桃太郎は怖いなぁ!」とか、「翔悟いくらなんでもこんな情けない顔はしないだろ」みたいなね。まだ完成された映像じゃないから、突っ込まれることなんですけど。

KENN:突っ込んじゃいけなかったですかね (笑)

鷲尾:あれを黙って見られるとこっちが気まずい!(笑)

KENN:素直な反応をしてるほうが、スタッフの皆様としてはいいんですか?

鷲尾:リラックスしてるなっていうのがわかるんですよ。アフレコブースの中で役者さんたちがクスッと笑ってるとか、「これ、すごいね」って言ってるのを見るとこっちは安心するわけですよ。

KENN:へぇぇぇー! 初めて知りました。

鷲尾:かっちり真面目に見られると、現場に無駄な緊張を与えてるのかなって思っちゃうくらいですね。そのほうが「ピリピリしていていい」っていう方もいらっしゃるけども、私はみんながリラックスできる状態のほうが、日常の芝居をやる場合にはいいと思うんです。


KENN:僕、結構、リハーサル好きなんですけど、とにかくバトルが速くて、一瞬たりとも気が抜けないピリピリ感がすごくスリリングでいい刺激になるんですよね。普段はすごくにこやかな雰囲気なのに、本番になるとバシッと決めるっていうのが、この作品ならではなんだと思います。

鷲尾:わかるわかる(笑) 宇田監督も普段はニコニコ笑いながら見ているんだけど、このお芝居はもうちょっとだけニュアンスをこう…とか、ものすごく的確に指摘してくるんですよね。スタッフも監督の考えに自分で気がつかなきゃダメだっていう空気を持っていて、おかしいところがあると、「この場面こうですよね!」ってすぐに反応する。あの感じが凄くいいですね。

●収録中の“集中力”はスゴイ!(全文表示はクリック)
鷲尾:8話の最後に敵が変身して、9話でみんながボッコボコにされてしまうんですよね。あのアクションの凄まじさたるや! ボッコボコに…ねぇ! 死んだんじゃないかっていうくらい(笑)

KENN:ボーンってスゴイ強度だなって思いましたね。

一同(笑)



鷲尾:その9話がね! 翔悟を「お前本当にいい子だ(泣)」って思える話なわけですよ。9話は、前半の中で一番好きな話数で一番感動する話なんです。私は何かを乗り越えた瞬間とか、気持ちで何かを突破した瞬間ってすごく好きなんですよ。これがまたKENNさんの芝居が良いんだ。ずーっと一人芝居が続くんですけど、一発で決めてましたね。…あれ、 どういう心境で演じたんですか?(笑)

KENN:あの、僕ね。あんまりこういうこと言っちゃいけないかもしれませんが、その時の事あんまり覚えてないんですよね(笑)。

鷲尾:なるほど(笑)

KENN:リハーサルをやって、自分のやるべきことって決まってくるじゃないですか。それでいざ本番ってなったときに、ガーってやって、終わったらフーって。ぽかーんってなっちゃう。なんとなくは覚えてるんですけど。

鷲尾:その感じってすごく大事なんですよね。アフレコブースの中に皆さんいらっしゃるじゃないですか。そんな中で一人芝居が続く状況で、自分のお芝居の中にきちんと入り込むのって大変だなって思います。つくづく役者さんってすごいなって思うんですけど、さらにそのお芝居で他の人の気持ちを引っ張っちゃうんですよ。「翔悟すごいから自分も負けてられないな」って空気が、ブース内にちゃんと漂うんです。

KENN:もしそうだったら嬉しいですね。

鷲尾:それは空気だから見えないんだけど、その後お芝居に立たれる方の演技が違うんですよね。そのくらい空気って持っていかれるものなんです。そういうのは、見てるほうがわかっちゃうんです。不思議ですよね、あれって。

KENN:確かに僕らはやってる身ですが、一歩後ろから見て下さっているスタッフ皆様には僕らには見えないものがたくさん見えてるんだろうなぁって思っています。

鷲尾:本当にいやらしいんだけど、KENNさんのものすごくいい芝居があると、後ろでニヤって、しめたって思うわけですよ(笑) そういうお芝居が1個バンってあると、周りの人に気合が伝わって…特に中堅からベテラン以上の方がそういう空気をものすごく敏感に感じるんですよ。特に舞台をたくさんやってらっしゃる方とか。空気が変わった瞬間をちゃんと理解する。「じゃあ自分はこういう芝居でこのキャラクターを」ってお芝居をされるんです。それはすごくありがたいし、いい空気だと思いますね。そんな空気を9話の収録で感じました。

KENN:僕はまだまだ芝居どうこうとかじゃなくて、とりあえず全力でやろうと思って。それだけはいつも心がけています。でも僕自身もみなさんに触発されて、それで引っ張っていただいてることが多々あります。それが一緒にキャッチボールできることの良さというか、楽しいなぁって思います。これからもいいお芝居ができるように頑張りたいですね。

●アフレコ現場は大にぎわい!?(全文表示はクリック)
鷲尾:スタッフのこだわりとか愛もそうなんですけど、毎回アフレコにはたくさんの関係者の方がいらしてくださるのもありがたいですよね。

KENN:僕らとしてもすごく心強いですよ。やっぱり大勢いてくださるっていうのは。鷲尾さんが毎回僕らとコミュニケーションをとろうとしてくださるのもすごく嬉しいんです。「昨日発表会があったよ」とか、「マジンボーン実機が稼働しますよ」とかそういう情報も、アフレコのときに教えてもらえるし。意外と僕らって細かい部分を知らされない事があるので、そういうふうに情報を共有できる環境っていうのはものすごく恵まれているなぁって思いますね。

鷲尾:アニメはテレビで放送されるものなので、生のリアクションをなかなか知ることができないですよね。子どもたちがどういうふうに見ているのかとか、誰が見ているのかとか…。私はその不安を常に抱えているので、もしかしたら関わる人みんな、私と同じ不安を抱えているんじゃないかなと思っているんです。だから、その不安をできるだけ解消したほうがいいと思って、わかる範囲の情報を伝えています。みんなでこの作品を作っているんですからね。

KENN:ありがとうございます。グッズも色々出てるみたいですしね。そういう情報を知ることができるのが嬉しいんです。自分はアフレコに関わっているけど、それ以外の場所で一体どんなことが行われているのかを知ることによって、自信にも繋がるし。この作品に携わらせていただいて自分もこの作品に対して力になれているんだ、ということがより実感できる瞬間なんです。


鷲尾:それじゃ、その他にも、こんなことして欲しいって要望はあります?

KENN:そんな…。これ以上…(笑) あ、でも、翔悟たちがゲーセンで、『マジンボーン』みたいなゲームの実機で遊ぶシーンが見たいです!

鷲尾:(笑)!

KENN:「面白そうじゃんこれ!」って言いながら(笑)

鷲尾:それはどっちかっていうとメーカーさんからそういう依頼来そうな感じですね(笑)

●『マジンボーン』の楽しさをぜひ目の当りにしてほしいな(全文表示はクリック)
鷲尾:役者さんをはじめスタッフ一同、必死になって作っていますので、その必死さがちゃんと画面から伝わって、みなさんに面白いなと思って見ていただけるとありがたいです。ぜひ見ていただいて、みなさんの目で判断していただければと思います! よろしくお願いします。

KENN:月並みな言い方ですが、本当に様々な方に楽しんでいただける作品になっていると思います。データカードダスも遊ばせていただいて思ったのが、様々な年齢の人に合わせて、それぞれ違ったところを面白いって感じるんだろうなっていうバランスがすごくいいんですよ。楽しめる部分がいっぱいあって…!アニメも一緒で、見る人によって楽しめる部分がいろんな所に散りばめられています。ぜひぜひ、この作品をこれからも一緒に応援していただけたら嬉しいです。みなさま、よろしくお願いします!



~profile~
 
KENN
東京都出身。3月24日生まれ。
【主な出演作品】
『宇宙兄弟』(南波日々人役)、『ムシブギョー』(月島仁兵衛役)、『境界の彼方』(神原秋人役)など多数。
さらにミュージカルや音楽活動など、マルチに活躍中!
鷲尾天
秋田県出身。9月16日生まれ。東映アニメーション所属。
【主な作品】
『怪談レストラン』、『ふたりはプリキュア』、『Yes!プリキュア5』
『トリコ』など多数の東映作品のプロデューサーを担当。
また、劇場版『プリキュアオールスターズDX』1~3の企画にも就いた。



●主人公は等身大の高校生!(全文表示はクリック)
鷲尾:高校生の役は結構難しくて、男の子役であっても女性の声優さんにお願いする場合もあるギリギリの年齢なんですよね。今回の『マジンボーン』でも、男性がやるのか女性がやるのかそこから話がありました。でもKENNさんの声を聞いたときに「あ、この人だ!」と思いまして。高校生としてリアルな日常芝居が多いので、男性の声のほうがいいんじゃないのかなぁって思いましたね。

KENN:最初にいただいた資料に、このキャラはこう、というような極端なキャラクター付けをしたいわけではなくて、怒ったり悲しんだり、自信があるときもあれば自信がないときもある。そういう人間らしい作品を作っていきたいというコンセプトが書いてあったんです。それを見て、自由にやってみようと思いました。そのときそのときでベクトルが違えば、話し合って変えていけばいいことなので、あまり考えすぎずにやっていこうと今は思っています。

鷲尾:これは監督も言っているんですけど、16歳の高校一年生になったばっかりってこういう感じだよねっていうのが驚くほどぶれてないんです。キャラクターが役者さんのほうに寄りすぎたり、反対に最初に作ったキャラクターに固執して役者さんに無理やり合わせてもらうということがないんですよ。オリジナル作品だから先が読めない、どういうキャラクターか原作を読んで理解することもできない状況の中で、みんなが「うん、こういう感じだよね」って違和感がないって珍しいんですよ。これはKENNさんが高校生っぽいっていうことなのかな?(笑)

KENN:心は中学生です!!(笑)

鷲尾:シナリオってだいたいのお話の流れは決まっているんですけど、細かい台詞などは監督がちょこちょこと修正していたりするんですよ。今どきの高校生らしい台詞回しとか雰囲気に合わせて。

KENN:アニメーションってキャラクターによってはあえて特徴的な言葉遣いをする場合もありますし、かといって今どき過ぎてもちょっと浮いてしまうっていう部分もあると思うんです。そこら辺がいつも絶妙だなって思いながら演じせていただいています。

鷲尾:そうですね。ベースはファンタジーなので、あんまりリアルに追求し過ぎると、実写ドラマのようになって違和感が出ちゃうんですね。だからそのバランスをとるのは本当に難しいことだと思います。それを監督はアフレコで役者さんの芝居を見ながら、自分の中に取り込んでいって、この人達だったらこうなるだろうっていう微調整をしている。長いTVシリーズではそういった積み重ねが大事なんだなと思いますね。

KENN:お芝居をしている時、自分が自然に言った会話のスピードで、ピッタリ枠が収まるのってすごく嬉しいことなんです。長く一緒にやらせていただいていると、絵を描いて台詞のタイミングを決めてくださっている方が、僕らの呼吸や言い回し、さらにスピードやタイミングをだんだん理解してくださって、それを反映してくださる。僕らも決められた時間の中でどう表現するか、お互いがお互いを思い合いながらやっていく感じが、すごく好きなんですよ。見えないチームワークみたいなモノがありますよね。

鷲尾:ありますね。スタッフのほうにも、喋る間とかタイミングとか、空気感が伝わっていくんですよ。ちょっと今、早口で喋ってるなとか、これじゃ間に合わない、尺が足りないんだっていうことを、本当に微妙な差なんですけど感じるんです。スタッフとのやりとりが長くなればなるほどそういうことが刷り込まれていって、どんどん自然になっていくんです。

●第1話から“新鮮”でした(全文表示はクリック)
KENN:凄くリアルで、翔悟が1話の一番最後でボーンを着装しちゃって「俺、どどどどうすればいいんだ!? うわぁー!」っていう状態のまま終わる新鮮さ。そこでまず、台本を読んだ時にしびれましたね。そこで終わらすんだ! って。1話で戦わないの!? やられたまま!? 逃げ腰のまま!? っていう感じでした。他にも、もし僕自身が翔悟のようになったらこうするだろうなって思っていたことをそのままやったかと思いきや、突っ込むところはギャグっぽく突っ込んだりとか。そのバランスもすごく楽しめましたね。

鷲尾:高校生らしい翔梧の周りに、ちょっと不思議な人達がいるっていうギャップが楽しいんだよね。

KENN:個性豊かですねぇ、思いっきり。


鷲尾:だってもし日常に、いきなりジャグリングのピン飛ばしちゃったブラジル人が来て「ゴメンヨー!」とか言ってきたら、これ驚きますよね普通ね!(笑) ちょっと怖いから関わるのやめとこうとかって思いますよね?(笑) これが3人もいきなり来るわけですよ。しかも自分の家に現れたり、自分の父親と将棋でも指しててご覧なさいよ! まぁ驚きますよ。

KENN:振り回されますよねぇ。

鷲尾:きみらそれちょっと変だから! という感じを、視聴者と共有してほしいなと思ったんですよ。視聴者は翔悟を通して物語を見ていくので、そこに違和感を持ってほしかったんです。しかも隣の幼馴染の家がボーン! って爆発した後に、なんか変な奴が鎧を着てガシャガシャ現れて、言葉が通じなかったら…これは尋常じゃないことが起きてる! って思いますよね。

KENN:思いますね。

鷲尾:そんな中、1番大事なのは翔悟の主人公らしさ。犬の桃太郎を助ける時に抱えて走って行くところが一番主人公らしいところなんですよ。相手の鎌の上にガンッって足を乗っけてかばっているところは、彼がこのファンタジーの中に巻き込まれてる一番肝心な由縁で、それができる人間だからこそ、この物語を引っ張っていけるということなんです。

KENN:深~い!

鷲尾:あれで逃げる人だったら、それは普通の人なんです。物語の主人公じゃない。正しいんだけどね(笑)

●成長する翔悟のゆくえ(全文表示はクリック)
KENN:翔悟は、「こういう運命を与えられたから頑張れ」って言われて「うん、わかった!」じゃなくて、「なんで俺がやらないといけないの?」って思うんです。でも、「お前が必要だ」と言われて、やる気を出してやってみたものの、「やっぱり俺には自信ねえ、できねえ…」となるすごく人間くさい人物なんです。今はそんな彼が新しいキャラクターと出会い、様々な環境に置かれて振り回されている状態で、色々な事を考えるのが後回しになってしまって、悩んでいる時期なのかなと思います。

鷲尾:困難を1個クリアすると「やった!」って気持ちは上がるんだけど、次にまた別の困難が起きると、気持ちは一回下がる。でもそれも乗り越えたときに、1個クリアしたときと2個クリアした時とではまたちょっ と気持ちが変わっている。その繰り返しなんですよ。これをやっていくと、見ている人たちが、どんどん翔悟の気持ちに入っていくんですよね、「あっ、俺と同じだ」って。そんな中で、これは嫌い、これは好きということが繰り返されていくと、そのうち全体や友だちを好きになれるかもしれない、ということを一年間繰り返してやっていくんです。

KENN:なるほど…。そういう思いが翔悟たちの原動力になっているということなんですねぇ。




●迫力の魔神! テンポのいいアクション! そして昭和感!?(全文表示はクリック)
KENN:アニメでは6話で翔悟たちも魔神を呼び出します。アニメもデータカードダスのゲームでも魔神の迫力はすごいですね。

鷲尾:超盛りあがりますよね、魔神降臨の瞬間って。シナリオ打ち合わせの時からこうしましょうって言っていたんですけど、実際の映像になって見ると、結構トリハダ立つもんですね。

KENN:あの瞬間は、ゾクッとしました。魔神のシーンもそうなんですけど、作品全体でCGパートのクオリティがめちゃくちゃ高くて度肝を抜かれました。戦闘シーンとかあんなリアルなカポエイラの技を使っているのに、モーションキャプチャーは使ってないんですよね。

鷲尾:そうですね。格闘シーンが本当にちゃんと格闘している感じがすごく出ていますよね。あれこそ一番望んでいたことだし一番やりたかったことでもあるので、よくそれを実現できたなって思います。

KENN:戦闘シーンはいい意味でアニメらしいというかスピーディなデフォルメされた動きだし、でもリアルに見えるんですよね。

鷲尾:今までセルのアニメーションらしいデフォルメを使うことは、CGパートであまりやっていなかった。それは、モーションキャプチャーを使ってその動きに合わせちゃうからっていうのもあるんだけれども、例えば翔悟がバッて空手の構えをしたときに、手がものすごくアップになっててパースをうんと大きくつけるとか、その瞬間の動き、打撃のときの動きのスピードを変えるとかっていうのはセルアニメーションの方が得意だったんですよ。


KENN:そうだったんですか。

鷲尾:でもそれをCGのスタッフや監督がものすごく相談をして、ここはアニメらしくもうちょっとアップでとか、ここのスピード感はテンポ変えてとかすごく丁寧にやっているんですよね。そこが、今回のアクションシーンの肝になってると思いますね。

KENN:ただ動きが速いもの同士がぶつかってパーンッ! だけじゃなくて、攻めたり受けたりっていう駆け引きがあっての必殺技とか。ジャガーはちょっとトリッキーな動きだったり、シャークだったら潜るとか、タイロンは力技、翔悟は空手、レオはボクサー。それぞれの特徴がすごく活かされてると思います。敵キャラもすっごくよく動くし…。

鷲尾:でもあれだけ速いと演技する側は大変なんでしょう?

KENN:確かに速いですね。

鷲尾:それにみんなフルフェイスで口がないから、声を入れるタイミングが難しいでしょ(笑)

KENN:表情がないから動きをオーバーにしているんですよね。それもまた特撮モノっぽくて好きなんですよ。ワイヤーアクションっぽい動きをしたり、ちょっとスローで見せてから高速で打撃が入ったりとか。エフェクトもすごくかっこいいし。ああいうアイディアってどんだけあるんだってくらい毎回盛り込んでませんか?

鷲尾:あれすごいですよねぇ。毎回絵コンテの時とかに、敵キャラも含めて、こういう動きさせてみましょうって、相談して動きをつけていくんですけど、現場のスタッフの勢いの高さがクオリティの高さに繋がってるなぁって思います。

KENN:マジンボーンへの愛を感じます!!

鷲尾:ものすごく楽しくやってますよね。

KENN:カメラの前に”シュタ!”って着地して後ろで爆発みたいな演出とか、かっこいいなぁ! って思います。


鷲尾:特撮の匂いがしますよね。みんなそれを見て育ってますから。体に染み付いてるんですよ。

KENN:いい意味で、昭和の部分と今の平成の部分がすごく融合しているなぁって感じていますね。僕、今の歳で思うんですけど、今のお子さんたちが見て、これが新しいと思ってもらえたらすごく嬉しいです。

鷲尾:宇田監督と私、同い年なんですけど、シナリオ打ち合わせの時に、「例えばこんなアクション」と言って出てくる映像のタイトルが大体一緒なんですよ。「あぁあれね」とか言いながらやってます。でも、実際にこうやって動き出すまでは、「僕たちの世代だけにしか通じないんじゃないかなぁ」ってお互いちょっと不安でした。でもこうやって実際に映像になって、役者さんにお芝居してもらうのを見たら、ちゃんと普遍的なものとして受け入れられそうだねって話してます。

KENN:良い作品は何年たってもいいですよね。

――さて、KENN&鷲尾対談・前編はここまで!
対談の後編では、「アフレコ」のお話や気になる「今後の展開」について
語ってもらっているぞ。公開は来週予定、こうご期待!!



~profile~
 
KENN
東京都出身。3月24日生まれ。
【主な出演作品】
『宇宙兄弟』(南波日々人役)、『ムシブギョー』(月島仁兵衛役)、『境界の彼方』(神原秋人役)など多数。
さらにミュージカルや音楽活動など、マルチに活躍中!
鷲尾天
秋田県出身。9月16日生まれ。東映アニメーション所属。
【主な作品】
『怪談レストラン』、『ふたりはプリキュア』、『Yes!プリキュア5』
『トリコ』など多数の東映作品のプロデューサーを担当。
また、劇場版『プリキュアオールスターズDX』1~3の企画にも就いた。