―――それでは、ご挨拶をおねがいします。
◆緑川光さん(以下、緑川): なかなか一年間やらせていただけるアニメって最近ではなくて、しかも普段やらないタイプなので、自分の中でも本当に刺激的だったのですが、まさか2年目やらせていただけるとは夢にも思っていませんでした。また、一年目を踏まえてより楽しいものになっていくと思いますし、今後のお話をうかがって、かなり前のめりで参加したいなと思ったのでとても楽しみです。これからより良い芝居ができるようにがんばろうと思っている所です。
◆古谷徹さん(以下、古谷): 「聖闘士星矢」は僕にとってライフワークになっている作品です。そのΩが一年間続いて更に2年目に突入ということで。最初の一年間はあらすじやタイトルをしゃべる、ナレーションがメインで、星矢としては光牙たちを見守る立場であまり活躍する場がなかったんですけど、新章になって星矢も聖闘士としてサジタリアスの黄金聖闘士として活躍する予定でおりますので、僕も楽しみにしております。是非応援して欲しいと思います。
◆水島裕さん(以下、水島): 27年ぶりに聖闘士星矢に戻って来ました、水島裕です。僕が今回、演じさせてもらう役は昴という12歳の役です。この12歳の役を僕に振ってくれた東映アニメさんとテレビ朝日さんの勇気に感服しておりますが。(古谷さん拍手)ずーっとですね、隣でそうやって古谷さんが「お前は12歳だからな」と耳元でつぶやくのが邪魔で邪魔でしゃあないんです(笑) その勇気に応えて皆さんに愛される昴を演じたいと思っております!よろしくお願いします!
◆長峯達也シリーズディレクター(以下、長峯): Ωのシリーズディレクターを前の畑野くんより引き継ぎました。聖闘士星矢はとにかく小宇宙を盛り上げてその小宇宙を見ている人たちにぶちあてる作品だと思っています。2年目にあたってはドラマを益々盛り上げていく。で、参加してくれる役者さんたちが小宇宙を発揮して吐き出すセリフを役者さん同士でぶつけるという形で。朝6時半からの作品ですが、朝から熱くて熱くてしょうがない、見てる子どもたちも目が覚める作品にしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
―――ペガサス同士で共演してみた感覚どうですか?
◆古谷: Ω始まって第一話でペガサス流星拳放ちあっているんですけども、主人公である光牙が赤ちゃんの頃から星矢は知っていて、そばで見てたので、その光牙が小宇宙に目覚めて、自分(星矢)の聖衣であったペガサスの聖衣を引き継いで、そしてその後の一年間のマルスとの戦いの中で非常に成長して、その過程を見守ってきていたので、アテナを守る聖闘士としてとても心強く思います。新章の頭では星矢と光牙で何かライバル心みたいなものがあるような(笑)、アテナ沙織を巡って、その辺もどうなっていくのかなってこの後楽しみにしています。
◆長峯: とにかく星矢を活躍させていきたいと思います。
◆古谷: ありがとうございます!太字で書いて下さい(笑)
◆緑川: 星矢と言ったらペガサスだと思うんですけど、いい加減サジタリアスの魅力をもっと引き出していただいて、ペガサスは譲っていただきたいなと。サジタリアスならではの技でガシガシ黄金のすごい星矢を見たいなって。なのでペガサスは安心して譲っていただければいいかなーと(笑)
◆古谷: それは僕も同じ意見で。サジタリアスならではの技が新章では出るのではないかと期待しています。
―――剛鉄聖闘士は以前(旧作)にも出ていたと思いますが、今回再登場ということで、こう違うように描きたい、というようなことを教えて下さい。
◆長峯: 剛鉄聖衣は麻森博士というグラード財団の人が作った、見てる人たちがびっくりするような性能の聖衣だったんですけど。その聖衣を開発した後に、その技術を元に量産化した、という設定でいきたいなと。聖域には聖闘士を助ける雑兵と呼ばれる人たちがいて、その人たちは普段皮の鎧とかを着てるんですけど。聖闘士も88人しかいないということになってるので、アテナがグラード財団の財力をつかって聖域の戦力を上げるために開発した、というような感じで考えています。だから剛鉄聖衣はちょろちょろと活躍するような感じです。
―――水島さんにお伺いします。前作でも出演されて星矢と戦っていましたが、当時のこと教えていただけますか?
◆水島:お、…覚えてます覚えてます!シド、バドっていう二役を同時に録音したので余計に覚えてるんですが出番が一回しかないんですよ。今回12歳ですからねぇ。12歳だからって古谷さんが僕にプレッシャーかけるんですが、最初にやったの13歳だろ?
◆古谷: 星矢は13歳。でも俺若かったからその頃。27年前だからね。
◆水島: そっか…そうだよねー…。
◆古谷: 君の年で今12歳やるのはすごいと思うわ。
◆水島: あぁ、すごいと思うわ。すごいっていうのは東映さんとテレ朝さんがすごいと思うわ。
◆古谷: いやいやいや、君もすごいと思う。
◆水島: えぇ? だからもう27年経っても同じ作品に参加出来るというのが僕には奇跡みたいなものです。聖闘士星矢ってやってて気持ちいいんですよ。すごい気持ちいいですよね?
◆古谷: 勿論!
◆水島: こう「見栄」を切ったりっていうのが、例えが良くないかもしれませんが、時代劇の気持ちよさみたいなものに共通するようなものを僕は感じるので、もう嬉しくてしょうがないですね!本当に東映さんとテレ朝さんには申し訳ないような気持ちもあって。それを跳ね返すくらいの集中でやってます。楽しんでやってます。(質問の趣旨と変わってしまいましたが)そんなんでいいですか?(笑)
◆古谷: (蜥蜴星座・リザドの白銀聖闘士)ミスティは覚えてるの?
◆水島: 覚えてる覚えてる!ちょっとナルシストな。グレーゾーン的な(笑) だから徹とはそれ以来じゃないかな?アニメの仕事で一緒になるの。洋画はあるんですが、アニメは27年ぶり?だよね。
◆古谷: もう40年近い付き合いなんですけどね。
―――子供にはどのように感じてほしいとおもいますか?
◆緑川: 諦めなければなんとかなる、っていうところかなぁ、この一年やってきて。ダメかな、と思ってもしつこいぐらいやっていきたいなって。
◆古谷: 何か壁にぶつかった時に、決して諦めずに何度もぶつかっていけば壁は壊すことが出来るっていうことですよね。勇気と希望を持って生きていって欲しいと思います。
◆水島: かっこいいな!と思ってくれればいいです!以上です!
◆長峯: 星矢っていう作品は僕の捉え方だと、今の世の中、難しいことがいっぱいあると思うんですよ。色んな情報とかインターネットとかで入ってきて、何かをやる前に考えちゃうことが多いと思うんですよ。でも聖闘士たちって、敵もそうなんですけど、自分の力を信じてとにかく「やる」と。細かいことはいいけどとにかく自分のやりたいことをやるんだ!っていうのを拳に込めて、自分に立ちはだかる壁をぶち破る!と、そういう部分を伝えたいと思います。まぁほんとに倒れちゃう時もあるんですけどね。その時は自分の責任で、ということで(笑)
―――今回の新章のストーリー的な魅力を教えて下さい。
◆長峯: キャラクターにライバルを設定するようにお話を作っています。聖闘士側はアテナを中心としたアテナ軍、敵側はパラスを中心としたパラサイト軍というアテナとパラスのドラマ。そして星矢はアテナを守る聖闘士で一番側近みたいな形になってるんですけど、それに対するパラスの側近でタイタンというのを出します。それと星矢がライバル関係になると。聖闘士側では昴と光牙が切磋琢磨のライバル関係。それといっしょに戦う、ユナとか龍峰とか蒼摩とか栄斗とか、エデンとか。エデンはね、神と人間の合間に悩む男として。アテナ軍は地上の愛と平和のために戦うという。パラス軍は神であるという。まぁ大体星矢っていうのは神様は「この地上を汚す人間どもめ!滅ぼしてやる!」みたいな感じで入って、で、アテナ軍は「そんなことはない、人間は良い人もいる!」みたいな感じで擁護するような、神と人間の戦いみたいな。そういうような全体のドラマで動かしていって、その戦場の中で極限状態の中で小宇宙を高めて、気持ちを敵と味方、味方と味方でぶつけあう、という熱いドラマを展開していくと!最後まで突っ走りたいと思います!…すいません、熱くなっちゃった(笑)
―――古谷さんはこれまでのシリーズとは立場が変わって、こういうふうに演じようとか変えようというのはありますか?
◆古谷: かつて僕が星矢をやってた時のアイオリア(獅子座・レオの黄金聖闘士)みたいな雰囲気を星矢に今感じてて、アイオリアが星矢を見ていた時の視点で僕は光牙たちを見ればいいのかなと思います。
―――それぞれのお互いの印象をうかがえますか?緑川さんには古谷さんの印象で変わった部分を。
緑川:僕は徹さんの印象は最初から変わってないですね。暖かく見守ってくれてて。現在のシリーズ終盤くらいからキャラクター投票をネット上でやってて。徹さんには「聖闘士星矢の主役は人気が出ないんだよ」と言われて、僕はもうそれ覚悟の上で、がんばっていたんですけど、今回の投票で星矢が中間発表で教えて頂いた時にトップだったんですよ。そしたら結構「俺ってすげぇな」みたいな(笑)「遂にやったぜ」みたいな(笑)そのオーラが出てきたみたいな。なんか、僕は好きだなって(笑)ずっとやっぱり思うところがあったと思うんですよ。星矢はなんで人気がないんだって。これから星矢はもっともっと前面に出てきて、いつの日かまたキャラクター投票をやると思うんですけど、そうなって、どのへんにいくのかなってのが今から気になります(笑)
◆古谷: 一位だよ!!
◆緑川: (笑)だからそのまま出番が増えたから一位を独走するのか、出番が増えちゃうと下がっちゃうのか(笑)その辺が楽しみだなぁと。前回縛りがあったキャラクターたちも今回はたくさん出てくるということなので、そんな中、厳しいと思うんですけど、僕もちょっとは上行きたいなぁと思います。そういう役柄では見えないところが見えて、より好きになりました。
古谷:(笑) あの、このΩ始まると決まった一年前に、「一位を狙うぞ!」と思ってました。なにせ僕はペガサスをやっていた時は、周りのキャラクターのほうが必ず人気投票では上で、星矢は大体4番目か5番目だったんで、悔しい思いをしておりました。なので本当に今回良かったなぁと心から思っておりまして、このまま独走したいと思っております。
あ!それで…(笑)
(本題に戻って)えーっとそうですね…緑川くんも最初にこの光牙をやり始めた当初、本人も「自分がやっていいのかな」って言ってて、不安があったみたいなんですよね。それは、光牙自体も13歳ということもありましたし、僕のイメージでは緑川くんはもっとスマートでちょっとクールなキャラクターかなって、熱血っぽい熱いキャラクターじゃなくて、そういう代表作をよく見てたんで、かつての天界編でも一緒に戦ってますし、その時もそういうキャラクターだったんで、ちょっと本人も不安を感じてるんみたいだから、大丈夫かなーって思ってたところもあったんですけど、始まってみたら全然問題なく、すっかり光牙を自分のものにしていて、この一年間で少しづつ緑川くんが光牙を成長させてきたっていう風に感じたんですね。その辺もさすがだなって思ってますし、またこれからの一年がすごく楽しみです。
◆水島: 緑川くんは僕は初めてで。勿論知ってはいましたが、仕事場で会うのは初めてで。今日でまだ2回めなんですが、一生懸命、観察…じゃないか、注目して、ます。やっぱり、主役の演技だなーとか主役の表現だなーっていうのを後ろでじっと盗もうとしてます。でも今聞いたら13歳なんだね?僕、あんまり気にしなくていいんだね?(笑)ていうのは、声優の仕事の面白さって許容範囲の広さなんですよ。例えばこんなかっこいい役もやれるし、同じ声でも三枚目もできるし石になったり鳥になったり犬になったり。で、今度は僕は実年齢からするとはるかに年下の12歳をやらせてもらったり、ここは面白さなんで、そこの声優の仕事の面白さの限界を一生懸命探ってるところなんですけど、そういう意味でも緑川くんを後ろで見ててなるほどこういうする手もあるな、とか色々、多分お互いだと思いますけど、盗み合ってると思います。
古谷さんはただの茶飲み友達なんで(笑)徹がいると嬉しいんですよ、話し相手が殆どいないんで、40年来の友達ですから。仕事で会っていようがなかろうが、遊んでもいたし、ちょこちょことは。
◆古谷: そうね、かつてのほうが、プライベートでよく会ってたよね。
◆水島: いっしょにずっと年齢重ねてますから、心の拠り所?みたいな感じ?(笑)
◆古谷: 気持ちわるいな、なんか(笑) あの、なんでも話し合える、なんでも言えるっていうか、全部受け止めてくれるっていう、お互いにそうだと思います。そういう関係なんで。正直言ってこの、これからの一年のほうがきっとスタジオが僕は楽しいなって思います。
◆水島: ありがとうございます!!
◆古谷: いやいやいや、とんでもないです(笑)
―――ありがとうございました!