[VISITING PRODUCTIONS / 会社訪問]

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[2013年7月号] ACW-DEEP & Zero C Seven

岡村里美(以下、岡村):アジア初のプリビズ専門会社であるACW-DEEP代表の山口聡さんにお話を伺いたいと思います。今日はよろしくお願いします。

山口聡(以下、山口):こちらこそよろしくお願いします。

中村桃子(以下、中村): 「アジア初」とか「一番」とか聞くとワクワクしますが、今のお仕事はいつ頃から始めたのですか?

山口:2000年ぐらいにイマジカでモーションコントロールカメラを担当していました。その時にモーションコントロールカメラのクレーンが大きいとセットに入らないなど、いろいろ撮影前に決めないといけないことがありました。当時はセットの図面から撮影設計を割り出していました。しかし、だんだんCGのランニングコストも安くなり、CGでシミュレーションが出来るのではないかと思い、実際やり始めたのが最初です。その頃はまだプリビズという言葉がなかった時代です。カメラのクレーンなど、撮影できるかどうかをCGでシミュレーションして確認する作業がプリビズです。まだまだ日本では十分に理解されていないところがありますが、プリビズは事前チェックなので、撮影中にプリビズの設計を変えるのは大いにやっていただいていいと思っています。それより最終的な映像がより良いものになるための事前チェックがプリビズの役割だと考えています。

中村: 海外にはけっこうプリビズ専門会社というのはあるのでしょうか?

山口:ハリウッドとヨーロッパにはあります。

乙藤未来(以下、乙藤):ハリウッドには何社ぐらいあるのですか?

山口:20社近くあるのではないでしょうか。ハリウッドでプリビズ自体が始まったのが1997年とか1998年だと思います。しかし最初は、1983年の『スターウォーズ』(エピソード4 1978年公開)です。その時はまだCGがないのでミニチュアでプリビズを行っていました。

乙藤:そんな古くからハリウッドではやっているのですねぇ。

山口:ハリウッドもこの10年ぐらいで急成長しています。私がはじめた2000年頃にはまだ日本にはプリビズという言葉すらなかったのです。その頃ハリウッドでやっていると聞いて、2007年に4社ぐらいあったのですが、そこを訪れました。その人たちとは今でも付き合いがありますし、情報交換をさせてもらっています。

乙藤:ところで、小さい頃に影響を受けた映画は何ですか?

山口:僕が小さい頃は『ゴジラ』に影響を受けました。その中でも『ゴジラ対ヘドラ』(1971年公開)が初めて観た特撮映画だったと記憶しています。

一同: 私たち平成生まれだから生まれてないです(笑)、、、

山口:小さい頃に『ゴジラ』とか『ウルトラマン』とかを観て育ったのですが、小学校6年生頃に観た『スターウォーズ』に衝撃を受けました。そしてそれを機に映像の世界に入りたい強く思いはじめました。その当時の映画館は入れ替え制ではなかったので、1日中『スターウォーズ』を映画館で観ていました。

乙藤:1日中観ていられるんですねぇ。今では考えられないので羨ましいです。

小池万瑠美(以下、小池):最近これが凄い!と感じた映画はありますか?

山口:『オブリビオン』(2013年5月31日公開)が凄いと思いました。今だとCGを使って何でもできます!って感じですが、それは真逆でした。スクリーンプロセスという技術を使っているのですが、スタジオにスクリーンを貼って、そこに映像を投射してその前で役者が演技をしています。スクリーンプロセスは、全然新しい技術でなく、グリーンバックがなかった時代の技術なんです。何故今また使用するようになったかと言うと、昔は照明を当てるとスクリーンが白くなってしまったのですが、今は技術が進歩して照明をあまり当てなくても撮影が可能になったため、スクリーンの明るさがそのままの状態で役者との同時撮影が可能になったからなのです。

中村:新しいのに何で?と思いました。

山口:新しい技術ばかりを使用するのではなく、こういった古い技術を現代風にアレンジして使用するというのが凄いと思いました。昔の技術はけっこう優秀で、それをうまく使えば、凄い映像が出来ることをまさに実現した例だと思います。

中村:将来的にこの会社さん()は、どのようなことを目指しているのでしょうか?

山口:規模は大きくしていきたいですし、世界で通用するようにしていきたいです。特に日本だけでなくアジアで仕事をしていきたいと考えています。今、ハリウッドのプリビズがけっこう台湾とか韓国などの会社に流れているので、是非日本でもやりたいと考えています!

ここで山口さんにプリビズの作業やデモリールを見せてもらいました。山口さんは場所を問わずプリビズができるように MAC mini で作業ができるシステムを構築していました。

山口:こんな感じで、プリビズでは、一般的にCG業界で使われているCG制作ソフトを使っています。でも、世の中にはいろいろなツールが開発されているので、 それを使えばもっといろんな事ができるようになります。例えば、ゼロシーセブンさんのところにあるモーションキャプチャとか。ねえ、池田さん!

池田隆行(以下、池田):はいはい、ではここから弊社のシステムを紹介しましょう。

一同: よろしくお願いします。

池田:モーションキャプチャのシステムを2つ程説明したいと思います。1つめは、映画『テッド』(2013年1月18日公開)でも使用された機材で、XsensのMVNと言うジャイロスコープなどを使った慣性センサ式のものです。この特徴はマーカーレスのシステムで屋外でもキャプチャ可能だということです。

乙藤さんと小池さんに、(ジャイロセンサーを利用した MVNスーツを着てもらい体感してもらいました。

池田:次にXBOXのキネクトを使った簡易なモーションキャプチャシステムで iPi2と言います。先程のMVNと比べるとデータクオリティは雲泥の差がありますが、Kinectカメラ(for Windows)があれば、さくっと簡単にモーションキャプチャが出来て、まさにお手軽なソフトなんですよ。

池田さんにサポートしていただき、小池さんのダンスをキャプチャしてもらいました。

岡村:どのようにして、このような機材を選定し販売するまでになるのでしょうか?

池田:主には海外の展示会等で実際に見つけてくるケースが多いですが、長年やっていると海外メーカーからの紹介という形で関連する商材の国内販売をお願いされたりする事もあります。

小池:世界の方々と仕事しているんですね。かっこいいいです!

乙藤:今日はありがとうございました。映画を見るのが楽しみになりました。

岡村:映画などのクレジットを楽しみにしています!これからもご活躍を期待しています!

一同:ありがとうございました!

取材を終えて

岡村美里:「今回、初めてプリビズという技術を知り、こんな画期的な技術があるのかと感動しました。 また、モーションキャプチャのシステムが高価なため、ゲームを流用して簡易のモーションキャプチャを出来るようにしたという世界のクリエイター達の物作りへの熱い思いに触れて私も頑張らないといけないなと思いました。一からプリビズについて教えてくださった山口さん、池田さん、本当にありがとうございました」

乙藤未来:「今回の取材で初めてプリビスという言葉を知りました。 実際に映像を見せて頂いたり、とても勉強になりました。 スタジオにはビリヤード台のテーブルや アロワナなど素敵なものがたくさんあって驚きました! モーションキャプチャを実際に体験させて頂き、 貴重な経験をすることができました。 とても楽しかったです! ありがとうございました!」

小池万瑠美 :「社員の一員、アロワナさんにご挨拶して始まった今回の取材(笑)。両社は理想的な関係でお仕事なさっていました。さらにどちらも現代の映像業界に必要不可欠な存在であり、スポーツや医療など社会でもその技術で貢献しています。時代の先端をお仕事とするプロの心得、見習うものが多かったです。そしてそして!この度はマーカーレスのモーションキャプチャ特殊スーツを装着させてもらうというとても貴重な体験に大喜び。またまた楽しく和気藹々とした現場に感謝いっぱいです!」

中村桃子:「今回は、プリビズやモーションキャプチャについてお話を伺ったり、メンバーの2人が実際にスーツを着させて頂いたりしました。 私が驚いたのは、身近な機械でもモーションキャプチャに近いものが出来ることです!近い将来もっと色々なことが出来るのではないか、そう思いました!これからが凄く楽しみです!」

iPi2の撮影風景:(53秒)

音楽:井上忠彦

ACW-DEEP

サービス内容:株式会社ACW-DEEPはアジア初のプリビズ専門会社です。
プリブズ: 企画段階で制作される各シーンを3DCGにより構築し、仕上がりのイメージを検討する工程がプリビズ(プリビジュアライゼーション)です。ハリウッドではこの10年で急速に普及が進んできました。プリビズを制作することで、企画段階から結果を想定しながら映像制作を進めることができ、映像のクオリティを飛躍的に進歩させることが可能となります。また計画的に作業を進めることができるためコスト管理もしやすくなります。結果として、限られた予算と時間の中で最高のクオリティを得ることができるのです。
弊社では、撮影の知識があるスタッフがCG制作を行なうことにより現場に即したご提案が可能です。また、プリビズ先進国である米国ハリウッドのプリビズ会社と技術協力関係にあり、最新技術を導入しつつ画期的なプリプロダクション支援を実現できます。

〒221-000
神奈川県横浜市神奈川区西寺尾4-28-29

TEL:045-567-2187

OFFICIAL-WEB : http://www.acw-deep.jp
FACEBOOK : https://www.facebook.com/AcwDeepCorp

ACW-DEEP代表 山口聡

プリビズ・スーパーバイザー
90年代、日立系企業にて業務用フライトシミュレータを開発しながら、CG技術のイロハを学ぶ。その後、97年に(株)IMAGICA入社。モーションコントロールカメラシステムMILOを担当し、映画、CMなどの実写とCGとの合成に携わる。2000年にMILO用プリビズシステムMILOBOTを開発。2005年よりMILOBOTを汎用プリビズシステムに改良し、リアルタイムプリビズとして運用開始。映画やCMでプリビズ作業を担当。2011年末(株)IMAGICA退職。
米国Previs Society Professional会員
米国Visual Effect Society 会員
中央工科デザイン専門学校 3DCG講師

クレジットリスト:
  『平清盛』 (NHK大河ドラマ) 2012年
  『聯合艦隊司令長官 山本五十六』成島出監 2012年
  『はやぶさ 遥かなる帰還』瀧本智行監督2012年
  『ファイナルジャッジメント』浜本正機監督2012年
  『のぼうの城』 犬童一心・樋口真嗣共同監督 2012年
  『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』庵野秀明監督 2012年
  『めめめのクラゲ』村上隆監督2013年
  その他CM多数

ゼロシーセブン株式会社(Zero C Seven)

事業内容:
「モーションキャプチャ」をキーワードに、革新的な製品と生産性の高いツールをCG業界の皆様に提供しております。私たちのバックグラウンドは、グループ会社であるモンテシステム株式会社で15年程前に取扱を開始した光学式のモーションキャプチャシステムOQUS(主に大学や産業の研究分野で幅広く活用されている)ですが、エンターテインメント分野では、今日ご紹介するMVNを中心に、スピーディーで生産性の高いキャプチャーツールをご提案しており、クリエイターの皆様のお手伝いをさせていただいております。
主要取扱製品は、Xsens MVN(慣性センサ式)、iPi Soft/ Minicon(Kinect簡易モーションキャプチャ)、CyberGlove Systems(データグローブ式フィンガーキャプチャ)、Organic Motion OpenStage(マーカーレスカメラ式)などです。 〒107-0052
東京都港区赤坂7-9-7 Barbizon74 7F
TEL:03-3560-7747/FAX:03-3560-7748

http://www.0c7.co.jp
http://www.zeroc7.com(スタジオ ゼロシーセブン)

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